新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
後家と子ども(嫁としゅうとめ)
あったてんがの。
あるどこへ、つぁつぁとかっかがあって、男の子があったと。
男の子が六つの時、かっかがあんべえ(病気)が悪くなって死んでしもうたんだんが、後家をもらったと。
子どもはちっと大きくなったんだんが、後家になつかねえで、つぁつぁのどこへばっか行くがらと。
後家はこの子がにっくくてどうしょうもないと。
「この子が死んだら、なじょうにかよかろう」
と思うて、あるどき、医者どんの所にいって
「おら、頼みがあるが、この子が自然に死ぬような薬を盛ってもらいたい」
と頼んだと。医者どんは
「よしよし、うまいもんの中に薬をいれておくすけ、それを毎日子どもに食わせれ」
とようて、あんこの入ったうまい薬をよこしたと。
かっかは子どもにそのあんこの入った薬をくれたと。
ほうしたら、その子が
「おらうちのかっかは、こんげのうまいもんくれる」
と喜んでかっかになつくようになったと。
かっかもその子がかわいくなってきたてが。
「はて、こら自然と死ぬうまいもんくわせて、この子が死んだらおおごとら」
そう思うて医者どんのどこへ行って、
「おら、ほんとに申し訳なかった。あの子が、おらになつくようになったら、おらもかわいくてどうしょうもねえ。どうかあの子が死なないような薬にしてもらいたい」
と頼んだと。医者どんは、
「あれは、ほんとのうまいもんで、死ぬ薬は入れてない。心配しんな。あのうまいもんで、子どもはおまえになつくだろうし、おまえは子どもがかわいくなるだろうと思うてそうしたがら」
とよわしたと。
それを聞いて後家のかっかは喜んで、
「あんげの気になったおれがいっち悪かった」
と謝ったてが。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<嫁としゅうとめ>をテーマとしたお話です。