新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
鉄砲撃ちの兄弟(兄弟話)
あったてんがの。
ある村に毎晩化け物が出て村のショが困っていたと。
鉄砲撃ちの兄弟が
「おらが退治に行こう」
と二人して相談して行くことになったと。
鉄砲に弾いっぺえ入れて山に行くと。
暗くなるのを待って山へ登っていったと。
ほうしてあにとおじが右と左に別れて山の奥に登っていったと。
あにの方が広々としたろこへ出たと。
そうしたら、山の奥からクワッと明るくなって年寄りのばさが、苧績(おう)み桶をたがいてニコニコして出てきたと。
あにが鉄砲撃ったら、それでもばさはニコニコしていたと。
あにはばさのからだじゅう鉄砲撃ったと。
そのうちに鉄砲の弾がたえてしもうたと。
おじは、反対側の山奥であにの鉄砲の音を聞いていたら、音がしなくなったんだんが、心配で眠らずに明るくなるのを待ったと。
明るくなったんだんが、おじが鉄砲の音がした方へ行っでみたと。
ほうしたら、あには化け物に食われて、死んでいたと。
おじは、今夜はおれが敵(かたき)取ると、暗くなるがん待っていたと。
暗くなると、山の奥の方がクワッと明るくなって、年寄りのばさが苧績み桶持って出てきたと。
おじのろこへ来て、
「こんばんは。良くお出でになりました」
とニコニコしていると。
おじはばさに鉄砲を向けて撃ったと。
ほうしてもばさは、ニコニコしていると。
どこへぶってもニコニコしているんだんが、おじは困って、神様に一生懸命お祈りをしていたら、
「魔物は影を撃て」
とようことを思い出して、苧績み桶に鉄砲撃ったと。
ほうしたらキャッとようてばさが死んだと。
明るくなってみたら、でっこいムジナだったと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<兄弟話>をテーマとしたお話です。