新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ヘビになったかっか(夫婦話)
あったてんがの。
つぁつぁとかっかがあったと。
かっかが病気になったと。
つぁつぁが一生懸命に看病しるろも、治らんかったと。
ほうしるんだんが、つぁつぁが、毎晩神様へお参りしていると。
かっかが眠ると、お参りに行くと。
かっかがだんだんごうやいて(怒って)
「おれが動かんねでいるんだんが、つぁつぁが、どっかのかっかのどこへ遊びに行くがんだ」
と思うて腹を立てて、鬼のようになっていると。
ある晩、かっかが寝た振りしていると、つぁつぁが出て行くと。
ほうしると、かっかが寝床からずって(動いて)出てきたと。
そうして、外へ出て、あこの家のかっかのどこへ行ったか、ここの家のかかのどこへ行ったかと探して歩くと。
どこへ行ってもいねえ、そのうちにのどが乾いて水が飲みたくなったと。
水のあるとこ探していたら、ちんこい池があったと。
水を飲もうとして、水に映った自分の顔を見てみたら、顔がヘビになって見えたと。
ほうして、かっかが池の中に入っていったと。
つぁつぁが家にきてみたら、かっかがいねえと。たまげて
「かっかあ、かっかあ」
とそこらじゅうさがしてあいたと。
池のそばにきて
「かっかあや、かっかあや」
とよばったら、かっかが池の中から、ヘビの姿で出てきたと。
つぁつぁがかっかの頭をなぜながら、ありがたいお経を一生懸命であげて、数珠(じゅず)でなでてくれたら、もとの姿になったと。かっかが
「つぁつぁ、申し訳なかった。勘弁してくれ」
とようて、楽になって死んでいったと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<夫婦話>をテーマとしたお話です。