ここに掲載しました昔話は、長岡民話の会顧問で芥川賞候補作家でもある新潟県小国町出身の高橋実さんが学生の頃に地元の古老から採話した昔話の内、昔話の奥深さを感じさせてくれるお話を選びました。同じ語り口の昔話を多数収録した名人選CDを販売しております。味わい深い語りで新潟県の昔話の楽しさをご堪能ください。
榎峠に茶屋を出していた婆さまの家に泊めてもらった男に化けた狼は、婆さまを食ってしまった。退治しようと村の若者が、婆さまに化けた狼が長持の中で寝たところを鍵をかけて、キリで穴をあけて、煮立った湯を注ぎ込んだ…。
昔話の上手な爺さまがいたが、病気になって死んで閻魔様の前へつれていかれた。前世では上手な話で人を喜ばせていたから極楽行きですよね。と言うと、嘘話ばかりしていたから地獄行きだと閻魔様に言われて…。
昔、山伏が寝ている狐の耳元で法螺貝をボアと鳴らすと、狐はびっくりして逃げ出した。すると、たちまち日が暮れ、真っ暗になったので、近くにあった小屋に入ると、棺桶があって、その蓋が開いて、中から白い手が…。
秋山の聟が里の旦那様から嫁をもらった。里の嫁の新居へ泊りに行くことになったが、節穴があっても柱をかければわからないと言うように嫁は婿に伝えたが…。
2匹の狐が明日朝、馬とばくろうに化けて、馬を売ったことにして儲けようと相談していた。それを聞いていた本物のばくろうは翌朝早く、馬になることになっていた狐の所に行って、馬に化けさせ、売りにでかけた…。
昔、兄弟の鉄砲ぶちがいた。ある日、兄が沢の奥へ行くと綺麗な娘が苧績(おう)みしていた。魔物と思った兄は鉄砲を一発ぶった。すると娘はニヤッと笑って「いたでも、かいでもねえ。もう一ツぶってくれ。」…。
昔、八郎という子が母親と住んでいた。八郎は酒飲みで、ある日焼酎を三升飲んで寝てたら死んでしまい、棺桶に入れて埋められたが、生き返った。土をつけたまま裸で、大勢で博打を打っていた家に入ると…。
昔、小千谷の川端に釣人がいて、釣り上げては魚を煮て食べていた。そこへ方丈様が来て、技比べをしようと言った。魚釣りは承知して、よく煮た魚を川に投げたら魚は勢いよく泳いでいった。それを見た方丈様は…。
昔、六部が死んだ婆さの葬式もだせない貧乏な爺さの家に泊まった。爺さは親に金の無心に行くので死んだ婆さが「爺さはいるか」と聞いたら「いるぞ」と応えてくれと頼んだ。婆さに聞かれたので「いるぞ」と応えると…。
昔、仲の良い親切だが貧乏な夫婦がいた。夫婦には子がなかったが、裏のお地蔵様に願掛けしたら、田螺の子ができた。頭の良い子で大人になると香煎をたくさん買ってもらって大旦那様の家の奉公人になった…。