節穴と馬のけつ
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
とんと昔があったげろ。
秋山の聟が、里の旦那様から嫁をもろうたと。
ほうして里の嫁のどこへ、一晩泊りにいぐことになったんだんが、嫁は心配して
「おらこは、家の新しいがん作ったすけ、そこの腰板を見て、節穴があいていたら『この節穴に柱かくし掛ければいいねか』というたいよ」
というてきかしたと。
聟は里の新しい家によばれて、家の腰板を見たら、節穴があったんだんが、
「この節穴に柱かくしかけれやいいねか」
というたと。ほうしたらそこの家の衆が
「これは馬鹿だなんていうろも、馬鹿どこんじゃねえ」
というて、たまげたと。
そこの家に馬がいたと。
聟は、またほめられるかと思うて、馬のしるっぽくるっとあげてみたら、けつの穴があいていたんだんが
「この節穴に柱かくしかけれやいいねか」
というたと、ほうして、やっぱり聟の馬鹿のことがわかったと。
これでいきがすぽーんときれた。
楢沢 高橋マス
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