新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ままはは(まま子いじめ)
あったてんがの。
あるろこへつぁつぁ(父親)とかっか(母親)があったと。
かっかが病気で死んでしもうて、子どもが二人もいるんだんが、かわりのかっかをもらったと。
つぁつぁは旅に働きにいったと。
かっかは、二人の子がにくくてどうしょうもねえ。
なんとか殺そうと思うていると。筒のようなナタをあつけて、
「山へ行ってしば刈ってこい」
とようたと。
子ども二人はそれを持って山へ行ったども、なんでも切れないと。
太郎が泣いていると、年寄りのじさが来て、切れるナタでしばを切ってくれたと。
それ持って家にきたら、こんだかっかがかごを預けて
「水をくんで来い」
とようたと。それを持って川へ行ったろも、なんも水をくまんねと。
またじさが来て、桶に水くんでくれたと。
それを持って家にきたと。
かっかがせえ風呂(据風呂)に水をいっぱい入れて、熱く沸かしてその上に板の橋とハギの橋を渡して、その向こうに、巾着にお金を入れて下げておくと。
ほうして太郎に、
「あの袋の中に金が入っているが、欲しくないか」
とようたと。太郎が欲しいとようと、
「取って来いばくれる」
とようて、太郎が板の橋を渡ろうとしたら、かっかが
「そっちじゃねえ、こっちだ」
とようて、ハギの橋を渡らせて、太郎は湯の中へ落って死んでしもうたと。
こんどは次郎にハギの橋を渡らせて、
「あの巾着取っで来い」
とようたと。次郎が
「やだ、やだ」
とようろも、無理に渡らせようとして、中へ突き落としたと。
二人の子どもをこもにくるんで縁の下に埋めたと。
それからいっか(幾日)たってから、つぁつぁが帰ってきたと。つぁつぁが
「太郎、次郎はどうした」
と聞いたら、かっかが
「太郎も次郎も風邪で死んでしもうた」
とようたと。つぁつぁが
「かわいそうなことをしたな」
と悲しんでいると。
つぐの朝、つぁつぁが、外に出で庭を眺めていると、きれいな鳥が飛んできて、つぁつぁの前に止まって
「ててご様のござったか。筒でしばは刈らんねえ。かごで水はくまんねえ」
とようて鳴いていると。つぁつぁは
「不思議な鳥だなあ」
と見ていたら、ツゥーと縁の下に入ったと。
つぁつぁがついていってみたら、新しいべとが、盛り上がっているんだんが、掘ってみたら、太郎が皮がむけて、泥のからだで出てきたと。
次郎もそこらに埋めてあるかと聞いたら、太郎と反対の方に埋めてあったと。
つぁつぁが、二人の子どもの死んだのをかっかの前に持ってきて、
「おまえは鬼だすけ、家にいなくていい。出ていけ」
とようて出したと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<まま子いじめ>をテーマとしたお話です。