新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ボタとカエル(嫁としゅうとめ)
あったてんがの。
あるどこへ、ばさと嫁があったと。
ばさが欲張りで、てめえばっかうめえもん食って、嫁にくんなかったと。
あるどき、隣からぼたもちもらって、ばさはそのぼたもち、重箱の中に入れて、
「ボタボタ、おれが見たらボタになれ。あねが見たらカエルになれ」
そうようて、戸棚の中に隠してお寺参りに行ったてんがの。
嫁がそれを聞いていてばさがお寺参りに行った留守にそのボタを一つ食ったれば、あんまりうめんだんが、また一つ食い、また一つ食いして、七つみんな食ってしもうたんだんが、池のカエルを代わりにいれておいて、仕事にいったてんがの。
ばさがお寺から帰ってきて、ぼたもちを食おうとして、重箱のふたを開けたら、カエルがピョンピョン飛び出してきたてんがの。
ばさはたまげて、
「ボタ、おれだ。ばさだ」
とようたろも、カエルがピョンピョン飛び出して、池の方にとんでゆくてが。ばさは
「ボタ、あんまりとぶなや。あんこがおちるがね」
そうようてカエルを追っかけていぐうちに、カエルはボタにならんで、みんな池の中にジャボンジャボンと入ってしもうたてんがの。
いきがさけた。
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共に<嫁としゅうとめ>をテーマとしたお話です。