新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
鳥のみじさ(隣のじい)
あったてんがの。
じさとばさがあったと。
じさが山へゆくてがで、ばさがだんご作ってくれたと。
じさがそれを持って山へ行ったと。
へえる(お昼)になったんだんが、じさがだんごだして食っていたと。
ほうしたら、鳥がたってきて、じさの鍬(くわ)の柄にとまったと。
ほうして、鳥が
「じい、だんごくれ」
とようたと。じさが
「ほうら」
とようてだんごくれたと。
それをみんな食ってしもうて、また
「じい、だんごくれ」
とようんだんが、じさが
「なんもねえが」
とようて、口をでっかくあけたてんが、鳥がパーッとたって、じさの口の中へ入ったと。
じさが腹をなでたら、へそのところへ、羽が出ているてんがの。
じさがそれ引っ張ったら、
「粟、チュウチュウ、米、チュウチュウ、ごよの盃(さかづき)、持って参らせ、チンパラリン」
とようたと。じさは
「これはおもしろい」
と思って家にきて、ばさに羽引っぱらしたと。鳥が
「粟、チュウチュウ、米、チュウチュウ」
と鳴いたと。
それを聞いて近所のショがみんな引っぱりに来ると。
とうとうその話が殿様の耳に入って、お城の中へ呼び出されることになったと。
じさは着物もからだもきったねえんだんが、風呂に入って、からだを洗い、着物も着替えて殿様の前に出ることになったっと。
じさはせえ風呂(据風呂)に入ってあんまり気持ちがいいんだんが、でっかいあくびをしたと。
ほうしたら、パーッと鳥が飛んで出ていってしまったと。
じさはショボショボと家に帰って来たと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<隣のじい>をテーマとしたお話です。