新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ネズミの浄土(隣のじい)
あったてんがの。
じさとばさがあって、じさが粟刈りに行ったと。
ほうしたら、ネズミが出で来たと。
ほうして、ネズミが
「じさ、じさ、おらおまえの粟もろうて食っているんだんが、そのお礼に、おまえをネズミの浄土へ連れて行くすけ、おれにばれ(背負われ)らっしゃい」
そうようて、じさが目をくめて(閉じて)ばれると、ちっと行ったら
「じさ、きたれ」
とようんだんが、目を開けでみたら、若いショが粟をついでいると。
そのそばで子どもが、子守しながら
「ねんねんころりよ。この子が十(とお)になるまでは、ニャンニャンの声はやだがね」
とようていると。
なるほどと思っていたと。
ごちそうになって金盆に金いっぱい持って来てくれたと。
じさは家に帰ってきて、二人して金勘定していたと。
そこへ隣のじさがちょこっと来て、それを見て
「おまえ達、なんでそんげの金もうけしたがだや」
と聞いたと。
じさがネズミの浄土へ行ってきたことを聞かせたと。
隣のじさも畑に粟刈りに行ったと。
待っていたらネズミが出てきたと。
ほうして、じさをネズミの浄土へ連れていったと。
そこには、ネズミの若いショが粟をついていると。
子どもが、子をぶって
「ねんねんころりよねんころや。この子が十になるまでは、ニャンニャンの声はやだがね」
とようていると。
ニャンニャンの声はやだがねというが、猫のまねしてみようかな。
ほうせば、あのかながめの金みんなおれが持っていかれる。
そう思ってじさが猫のまねして、ニャオンニャオンとようたと。
ほうしたら、ネズミがチチガタチチガタとみんな逃げていったと。
ほうしたら、真っ暗になったと。じさがそこら中見るろも、何でもないと。
べと(土)の穴蔵で、出ることもならんと。
じさがべとわっか(ばかり)食っていたら、モグラモチ(もぐら)になったと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<隣のじい>をテーマとしたお話です。