新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
腰折りツバメ(隣のじい)
あったてんがの。
あるろこへ二人の兄弟があったてんがの。
あには欲張りで、のめしこき(なまけもの)だし、おじは親切で、稼ぎ手だったてんがの。
そのおじの家の軒端にツバメが巣作ったてんがの。
おじはツバメをかわいがっているうちに、ツバメの子がみよけて、巣の中でピーチク、ピーチクとないているてんがね。
親ツバメは餌をくわえてきては、くれているてんがね。
ある時、でっかいヘビが来て、子ツバメを飲もうとしたてんがね。
おじは、それを見て、棒を持ってきてヘビをおっぱらったてんがね。
そのツバメの子の一羽が下へ落ちて足折ったてんがね。
おじは、薬を付けて、しばってやり、介抱していたんだんが、ツバメのけがは治って、いんなと一緒に巣をたって出たと。
つぐの年、そのツバメが、なにかくわえてきて、おじの前に落としたんだんが、それを見れば、何かの種だったと。おじは
「おう、ツバメが、土産(みやげ)持って来てくれた」
と喜んで落とした種まいたてんがの。
春になると、芽が出て大きくなって、ふくべ(ヒョウタン)が三つなったと。
秋になって、もいで磨いて見たれば、一つには、つぼの中に薬が入っていて、それを飲めば、何病気にもきくてんがね。
二つ目には米が入っていて、ザラザラといくらでも出てくるてんがね。
三つ目には、着るもんが入っていたと。
貧乏のおじは、しんしょうがよくなったてんがの。
のめしこきのあには、この話を聞いて、
「それじゃあ、おれもツバメをかわいがってやろう」
と思うて、軒端に自分で巣を作って、ツバメを追って、その巣に入れようとするろも、入らんと。
ほうしるうちに、片目のツバメが入って、卵を産んだと。
子がみよけて、チョコチョコしていたてんがね。
あには、巣の中の子ツバメを一羽、腰を折って、薬を付けて介抱していたでんがの。
その傷が治って、みんなと一緒にたっていったてんがの。
つぐの年、そのツバメがまた種をくわえてきたんだんが、
「ああ、土産の種をくわえてきた」
と喜んで、その種まいたてんがの。
芽が出て、秋にふくべが三つなったと。
それをもいで見たら、一つは、中から、こじきが出てきて
「銭くれ、銭くれ」
とようたてんがの。あには、
「銭どこじゃない」
とようと、二つ目の中からは、坊さんが出てきて
「銭くれ、銭くれ」
とようたと。
三つ目からは、ハチだのアブだの出てきて、そこら刺して、いっくら逃げても追っかけてくるてんがの。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<隣のじい>をテーマとしたお話です。