新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
正直な夫婦(夫婦話)
あったてんがの。
あるろこへ正直で働き者の夫婦がいたと。
二人で山へ行っては畑仕事をしていたと。
ほうしたら、カチンカチンと鍬に当たる音がしたと。
何だろうと思うて持って見たら、かながめが出てきて、ふたを取ってみたら、中に小判がいっぱい入っていたと。
二人は
「このまんま持って行くこともできねえすけ、家に行って入れ物を持ってこうねか」
とようて、ふたしてべと(土)いっぱいかけて家に帰ったと。
向こうの方で畑仕事をしていた夫婦がこれを見ていて、
「グダグダようて、べとをかけて家にいったが、なんだか見ようねか」
とようて、二人でその畑にきたと。
べとがいっぱい盛り上がっているんだんが、そのべとを落として、ふたを取ってみたら、中にヘビがいっぱい入っていたと。
「何だ。こんつらヘビを見ていたがんか」
とようて、またふたしてべとかけていってしもうたと。
そこへ前の夫婦が来て、かめのべと落としでふたを取って、中の小判を持ってきた袋に入れて持って帰ったと。
さずいて(さずかって)いない夫婦にはヘビになって見えたと。
正直者には福宿るとようねか。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<夫婦話>をテーマとしたお話です。