新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
片目のじさ(おろかな動物)
あったてんがの。
あるどこへじさとばさがあったと。
じさは目が悪くて左の目がつぶれてしもうたと。
あるどき、じさがよそへ行って、晩方になっても来ないと。
ばさが心配していたとこへ、じさが
「ばさばさ、今帰ってきたろ」
とようて帰ってきたと。ばさは
「じさがおそいんだんが、心配していたろこら」
そうようて、じさを見たら、じさは左の目がつぶれていたてがんに、こんだ右の目がつぶれていると。
ばさは「こらあ、キツネが化けてきたな。じさの片目をまちごうて化けて来たな」
思うて、ばさは
「じさ、おまえ、また酒飲んできたな。酒飲んでくると、いつも俵の中に入らっしゃるがらのし」
とようと、じさは
「そうらったかな」
とようて、じさは俵の中に入ったと。またばさが
「じさ、おめえ、俵の中に入ると、いつもなわでしばられようとようがのし」
とようと、じさは
「そうらったかな」
とようて、なわでしばられたてんがの。またばさが
「じさ、おめえはいつも火棚(ひだな)に上げて火をたけといわれるがの」
とようんだんが、じさは
「そうらったかの」
とようて、火棚に上げて、火をたいていぶしたと。
こんだばさが夕飯をしるとって、魚を焼いているてんがの。
じさはせつながって、俵から出ようとしるろも、しばってあるんだんが、出らんねえでいるろこへ、ほんとのじさが帰ってきたと。
どんどん火をたいてキツネを殺してしもうたと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<おろかな動物>をテーマとしたお話です。