新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
平兵衛のいたずらもの(人とキツネ)
あったてんがの。
ある日、平兵衛が田んぼの水回りに行ったと。
ほうしたら、でっこいキツネが田んぼのあぜに寝ていたと。
平兵衛がたまがしてやろうと思うて、キツネの耳のそばを鍬で威勢よくはたいたと。
ほうしたら、キツネがたまげて飛び上がっで逃げていったと。
そのようさる、若い男がきて、
「平兵衛、平兵衛」
とよばったと。
平兵衛が起きて出たら、
「不動沢のお宮へ芝居を見に行こう」
とようて、連れていったと。
ほうして、ミミズのソバと馬のくそをごちそうして、
「食いや」
とようて、食わしたと。
朝になって平兵衛がいないので、家の人が尋ねたら、
不動沢のお宮の表にぼんやりと立っていたと。
家に連れてきたら、途中で気持ちが悪くなって吐いたと。
ほうしたら、ミミズと馬のくそを吐いたと。
それから、からだの具合が悪くなって、死んでしもうたとさ。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<人とキツネ>をテーマとしたお話です。