新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
あにとキツネ(人とキツネ)
あったてんがの。
あにが畑で仕事していたら、向こうからキツネがきたてんがの。
あにが見ていたら、あにの前でクルッとひっくり返ってあねさになったと。
木の葉っぱ拾って後ろへ投げたら、それがずきんになったと。
あにが見ていたら、村の入口の家に入ったと。
中からばさが出てきて
「おお来たかや」
とようたと。あにが
「ばさ、それはキツネだぜ」
とようろも、ばさは
「なにキツネだろうば。おらこから嫁にいった娘だ。キツネだとようがだけや、火あぶりにしょう。キツネだけや、しっぽ出すすけに」
とようて、火あぶりにしたら、嫁は死んでしもうたと。
ばさは怒って
「おまえも殺してやる」
とようたと。
そこへお寺の坊さんが来たと。坊さんは
「おれのお寺に連れていって、坊主にさせるすけ」
と謝って、お寺で頭そってくれると。
ガリガリとそると
「あいたた」
とあにがようたと。
またガリガリとそると、あにが
「あいたた」
とようたと。
やっとそり上げて、坊さんが
「毛をやぶへ捨ててこい」
とようたと。
あにが頭の毛をぶちゃりに行ったら、目が覚めたと。
頭をなぜて見たら、血だらけだっと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<人とキツネ>をテーマとしたお話です。