新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ばさと猫(化け物退治)
あったてんがの。
ばさが猫を飼っていると。
長く飼っているんだんが、家族のように大事にしていると。
ばさには、せがれが一人いたが、目が悪くて、三味線持って歌って歩いていると。
ある日、殿様の屋敷に呼ばれて、行ったきり帰ってこないと。
ばさが心配して行ってみたら、だれも知らんとようたと。ばさが
「こらあ、きっと殺されたのだが、敵をとりたいたってどうにもならねえ」
とようて、猫に
「おめえ、せがれの敵を取ってきてくれ。おれが死んだら、おれの血をなめてくれ。そうして、敵を取ってくれ」
とようて、ばさはのどを切って猫に血をなめさせたと。
猫は家を出で、それっきり帰ってこなかったと。
猫はお屋敷にいって女中を殺して、自分で女中になり切っていると。
歌が上手で器量もいいんだんが、奥方に気に入れられて、奥方の側女中になってそばにいるうちに、奥方を殺して、自分で奥方に化けていたと。
ある晩、夜中に家来が呼ばれて、行ってみたら、猫の姿になって、行灯(あんどん)の油をなめていたと。
それを見た家来が大勢仲間を呼んで猫退治したと。
女中はみんな猫だったと。
みんな殺しては味方に付けていたと。
せがれは蔵の壁の中に塗りこんであったと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<化け物退治>をテーマとしたお話です。