新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
キツネの恩返し(人とキツネ)
あるどこに一人のじさまがあったてんがの。
じさまが町へ買い物へいっての帰り道に、見慣れない娘が道で難儀(なんぎ)がっているんだと。
じさまは、その娘を家に連れてきて、薬を飲ませたり、泊めてやったりして助けてやったと。
娘も良くなり、喜んでお礼をよって帰っていったと。
じさまがあるどき、町へ買い物にいごうと思って、峠に差しかかると、こないだの娘が出てきて、
「こねだは助けてもろうてほんねありがたかった。今日は、その恩返しをおらにさせてくんねか。おらじつは、キツネが人間の姿に化けているがっだ。おらこと町へ連れていって、茶やへ売ってくれ。その銭みんなおまえにやるすけ」
とようたてんがの。じさまは、
「そうか、そうか」
とようて娘を町の茶やへ連れていって、どうろ(たくさん)金もろうたてんがの。
じさまは、その金どうろもろうて、喜んで家へきたてんがの。
娘は茶やのおんなごになって働いていたが、あるどき、しっぽ出して寝ているところ見られて
「そらキツネだ」
と追いかけられて、山へ逃げてきたてんがの。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<人とキツネ>をテーマとしたお話です。