新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
鎮守様とこじき(知恵者話)
あったてんがの。
ある村で、百物語とようて、年に一度、鎮守様に大勢よって語り合う日があったと。
丁度その夜、鎮守様へこじきが泊まったと。
村のショが来たんだんが、天井裏へ上がって、隠れていたと。
村のショが大勢来ていろいろな話をしたと。
だいぶめると、
「おい、そろそろ食おうねか」
とようたと。
「まら、まら」
とようて、またちっとめると、
「おい、そろそろ食おうねか」
とようたと。
こじきがそれを聞いていて、おれがここにいること知っていて、おれを食おうとしているがんだすけ、じゃ、おれの方から食われてやれと思って
「食いたけりゃ、食いや」
とようて飛び下りたと。
村のショはたまげて、
「でたあ」
とようて、みんな逃げていってしもうたと。
こじきもたまげてそこら見たら、飯を入れるおひつが置いてあったと。
こじきがふたを取ってみたら、中にぼたもちがいっぱい入っていたと。
こじきがそれを腹一杯食って、残りを自分のぼうとう着(ぼろ着)に包んで、持っていったと。
村のショが百物語語り終わると、化け物が出るとようことだったと。
だんだんが(それだから)、早く夜食を食おうとようたのだと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<知恵者話>をテーマとしたお話です。