新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
屁っこき嫁(誇張話)
あったてんがの。
屁っこきの嫁が来たと。
嫁は屁の出るのを我慢していたと。
あんまり我慢していたら、顔色が悪くなったと。ばさが
「おまえ、どっか悪いかや。顔が真っ青だがや」
とようたら、嫁が
「屁が出たいろも、我慢しているんだんが、そうだ」
とようたと。ばさが
「おうこ、屁の出たいがんなんか、我慢しねえでこけや」
とようたと。嫁が
「じゃあ、屁をこくすけ、ヨロブチ(いろりのふち)にしっかりつかまっていてくらっしゃい」
とようたと。
嫁が屁をこいたら、ばさがヨロブチごと天井に吹き飛ばされたと。
ばさはたまげて
「こんげの嫁は、おら家に置かんね」
とようて、出してしもうたと。
実家へ帰る途中、舟がひっくり返っておおぜいで大騒ぎしているどこへ来たと。
嫁がそれを見て
「あはは」
と笑って、
「あんげのがん、おれの屁の風で起こされらあ」
とようたと。
それを聞いた人が
「なに生意気ようて、屁の風で起こしてみれ」
とようたと。ほうしると、嫁がけつ(尻)まくって、舟の方へ向けて屁をこくと、舟がくるっと起きたてんがな。
んーなが喜んで、銭どうろ(たくさん)くれたと。
その金を持って実家に帰ったと。
ばさがその話を聞いて、
「おら家に戻ってくれ」
とようたろも、嫁は家に戻らんかったと。
嫁は金いっぺえもらって幸せに暮らしたと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<誇張話>をテーマとしたお話です。