新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
和尚様と小僧(和尚と小僧)
あったてんがの。
ある寺に和尚様と小僧がいたと。
和尚様が檀家へお経を読みに行こうと思っているどこへ、隣のばさがおはぎを持ってきたてんがの。
和尚様は、お経を読みにいってきてから食おうと思うて、戸棚の中へしもうて置いたと。
小僧に
「庭掃いたり、仏檀掃除しておけ」
とようて、和尚様は出ていがしたと。
小僧は、戸棚からおはぎを出して、あんこを金仏様(かなぶつさま)の口のめぐらに塗り付けて、そのおはぎをてめえ一人でみんな食うてしもうたと。
そこへ和尚様が帰ってきたと。
「小僧小僧、庭掃いたか、仏檀掃除したか」
とようんだんが、小僧は
「庭も掃いたし、仏檀も掃除しました」
といったと。和尚様は
「そうかそうか」
とようて、おはぎを食おうとして、戸棚を開けてみると、なんでもないてが。
和尚様は怒って
「小僧、おまえだな。戸棚のおはぎを食うたのは」
とようたと。小僧は
「おはぎなんか、なんにも食わん」
とようろも、和尚様は
「ほかにだれもいねえがんに、おまえが食わんでだれが食う」
とようたと。小僧が
「そういえば、さっき本堂で、ミシリミシリと音がしていたけが、金仏様が食うたかもしれん」
とようんだんが、本堂にいってみると、金仏様の口のめぐらに、あんこが付いていたと。小僧が
「ほら、やっぱし、金仏様が食わしたのだ」
とようんだんが、和尚様が
「食うたか、食わんか、はたいてみれ」
とようんだんが、小僧がカネの棒ではたいてみたら、クワンクワンと音がしるてんがの。和尚様が
「小僧、そら見れ。クワンクワンとようていなさる」
とようと、小僧が金仏様を池の中に投げ込んだら、クタクタと水の中へもぐったと。
小僧がようたと。
「そらみなせえ。金物様がクタクタといわしたろ」
とようたてんがの。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<和尚と小僧>をテーマとしたお話です。