新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ちゃくりかき(愚か者話)
あったてんがの。
あるどこに馬鹿あにがいたと。かっかが
「あに、おまえ、町へ行ってお茶と栗と柿を持っていって売ってこいや」
とようて預けたと。
あにはかっかによわれた通りに持って町へいったと。
「ちゃくりのかきいらんかね」
とようて売ってあえたろも、だれもわからねで買う人がなかったと。
うちへ帰ってきて
「おれが売りにいっても、だれも買う人がいねかった」
とかっかにようたと。
「おれがいげや、すぐ売れるがんに、どうしてらろ」
とかっかがようたと。あには
「ちゃくりかきいらんかねとようてあいた」
とようたと。かっかは
「馬鹿だな、茶は茶、栗は栗、柿は柿、別々にようてあくもんだ」
とかっかはようたと。
「そうか、わかった」
とようて、また町へ行ったと。
「茶は茶で別々、栗は栗で別々、柿は柿で別々」
そうようて早口でようんだんが、人はなんのことだかわからんで、買う人がなかったと。
あにはうちへ戻ってきたら、かっかもあきれて、
「いやいや、なあのような者に頼んでもだめらすけ、おれがいってくる」
とようて町へ出ていったと。
いきがさけた。
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