おはなし
……読み比べてみたい昔話
共に<知恵者話>をテーマとしたお話です。
高橋ハナさんの昔話CD(第2巻)の内容はこちら
高橋ハナさんの昔話CD(第3巻)の内容はこちら
昔、権兵衛という若者がいた。権兵衛は船に乗って遠方へでかけることになったが、嬶に「かっか、かっか。おれが舟に乗って二十日たったら、この家の小屋に火を付けて燃やしてくれや」と頼んていった…。
昔、兄と姉がいて、十三夜の晩、座頭が泊めてくれと来た。今夜はおはぎを食べようと思ったが座頭にはやりたくないと一計を案じ、兄の足に紐を付けておはぎができたら姉が引っぱるから、一緒に食べることにしたが…。
昔、婆さと食っちゃ寝ばかりの怠け者の兄がいた。ある時、兄は婆さに紙を買ってきてくれと頼み、隣りの檀那様の蔵の米俵の上に白装束で幣束を持って座っていると、見回りの下男が来たので、俺はこの家の福の神だと言い…。
ある所に、人を騙したり驚かせたりするのが上手な彦一という男がいた。裏山に住む狸も同じだったが、どちらが上手に騙せるか騙し合いをすることになった。ある夜、裏山の狸が来て「お前の嫌いな物は何か」と聞いたら…。
ある所に、とんちのいい男がいて、知り合いと会ったらその男が、蜂が狸の頭に巣を作ったのを見たという。そんな馬鹿なことはないと、とんちの男がそれが本当なら牛の子を八匹やるとその男に約束したが…。
ある所に、婆さと親孝行の息子がいて、その村では婆さが六十歳になると山へ捨てられていた。息子の婆さも六十になったので山へ捨てにいかねばならぬと泣き泣き婆さを背負って山道を行くと婆さは時々枝を折っていた…。
ある所に、爺さ婆さがいて、ある晩泥棒が入ってきた。爺さは気づいて婆さを起こし、泥棒に聞こえるように、目が覚めないまじないがあると婆さに言った。餅臼の上に自分の着物を置くと誰も目覚めないと言うと泥棒は…。
ある所に、吉さんという彫り上手な男がいた。ある日、友達が来て左甚五郎の鼠の彫り物を持っていると自慢したが、吉さんは俺が持っている方が本物だと嘘を言ってしまい、困っているといい考えが浮かんだ…。
昔、親孝行の息子が父親を亡くして悲しんでいた。ある時、釣りに行って鏡を拾ってきた。その鏡を押し入れに入れ、映る顔を父親だと思いお参りしていた。息子は結婚したが嫁が押し入れの中を見ると綺麗な女性が…。
ある国へ殿様があって、隣の国の殿様から知恵試しの使いがきた。太さが同じ棒を出して、どちらが根か当てて見ろと言う。殿様も家来も分からなかったが、一人の知恵者が棒のまん中をひもで縛って吊るすと…。
ある所に、婆さと向こう村に嫁に行った娘がいた。娘からの便りが無く心配した婆さが木の股を五つ書いて、隣りの人に手紙を渡すよう頼んだ。婆さが手紙を書けるので驚いたが、娘に届けると娘は返事の手紙を書いた…。
ある村で、年に一度鎮守様に大勢集まって語り合う百物語という日があった。丁度その夜鎮守様に泊っていた乞食が皆が集って来るので天井裏に隠れていると、そろそろ食おうかと言う。俺を食う気だなと思った乞食は…。