新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
白椿の下のかながめ(夢買長者)
あったてんがの。
あるどこに、あに(兄)とおじ(弟)があったと。
小さいときに両親に死に別れてしもうて、二人してよその家に山仕事の手伝いにいって、だんだんでっこくなったと。
ある時、山へ木切りにいっていたてんがの。
昼になったんだんが、まんま食って休んでいたと。
おじが横になってすぐグーグーと寝ってしもうたと。
あには寝いらんでいたと。
ほうしたら、おじの鼻の穴から、ハチが出たり入ったりしていると。
不思議に思うて見ていたら、おじが目を覚ましたと。おじが
「おおこ、今のは夢だったか。神様が『お寺の白椿の下にかながめが五つ伏せてあるすけ、それをおまえに授ける』といわした」
あにが
「そらまたいい夢だねか。おまえとおれとで明日お寺に掘りに行ってこう」
とようて、おじも
「そうしよう」
とようたと。
そばで仕事をしていた人がそれを聞いて、
「よし、そのかながめ、おれが先に掘ってやろう」
とその晩のうちに掘りにいったてんがの。
ほうしたら、かめが出て
「おおあった。あった」
と喜んでかめのふたを取ってみたら、中はべと(土)がふっとつ(いっぱい)入っていたと。
「こらなんだや。べとが詰まっているがんに。こんげな夢なんかあたるもんか」
とまたべとかけていたと。
つぐの日、あにとおじがいってお寺の白椿の下を掘ったれば、かながめが五つ出てきて、中には大判小判がいっぱい入っていたと。
ほうして二人はその金で金持ちになって一生安楽に暮らしたと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<夢買長者>をテーマとしたお話です。