新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
庚申様のお礼(宝の呪物)
あったてんがの。
じさとばさがあって、じさは、毎晩お庚申様(こうしんさま)に酒を上げて、そのお下がりを飲んでいたと。
ある朝、外へ出で見たれば、うちわが一本あったと。
それを拾ってあおいで見たれば、からだが、フワフワと上にあがると。
こんだ下の方にあおいだら、スウーッと降りたと。
見たら、でっこいきれいな家の前にたっていたと。
家の中から、大勢の人が出てきて、
「お客様がきた」
とようて、酒やごちそうをいっぱい出してもらって、
「家へ帰る」
とようたら、金盆(かなぼん)に金をいっぱいくれたと。
それを両方のたもとにいれて、うちわであおいだら、上へ上がって、また下へあおいだらスウーッと降りたと思うたら、自分の家の前に立っていたと。
それで目が覚めたと。
夢でお庚申様に呼ばれて行ってきたのだと思って、
「たもとへお金いれてきたけや」
と手を入れて見たれば、両方のたもとへ金がいっぱい入っていたと。
その金でじさとばさは一生幸せに暮らしたと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<宝の呪物>をテーマとしたお話です。