新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
石イモ(異類交流)
あったてんがの。
あるどこに坊さんがあっちこっち村を回って歩くてんがの。
村外れにこじきがいたと。
坊さんは、気の毒に何かくれてやろうと思うろも、銭も米もまだもろうていない。
ほうしたれば、百姓がイモをあろうていたてんがの。
「あのイモをもろうて、こじきにくれてやろう」
そう思うてそばへ行ったてんがの。百姓に
「そのイモ三つ四つくんねか」
とようたれば、百姓が
「このイモ、石イモでくわんねがだ」
とようたてんがの。
「このくそ坊主、人のなんぎして取ったこのイモを、ただでなんかくっるもんか」
と独り言ようて、くんねかったてんがの。
ほうしてこんだ、百姓は、イモを煮てくおうと思って煮たてんがの。
グツグツ煮えて、もう煮えたかと思って箸で差してみるろも、刺さらんと。
こんだ、皿を持っでくおうとしたろも、かったくってくわんねえてんがの。
ほうして、イモがみんな石イモになったてんがの。
いきがさけた。
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共に<異類交流>をテーマとしたお話です。