新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
貧乏神(異類交流)
あったてんがの。
ある貧乏な家にあんにゃがいたてんがの。あんにゃは
「いくら働いても、貧乏でどうしょうもないが、ここにいたってまんまがらくらく食わんねえすけ、旅へ出て、働きにいってこよう。それにしても、履いて行くワラジがねえすけ、作って履いて行こう」
と思って、ニヤ(作業場)へ行ったてんがの。
ほうしたれば、ちんこい痩せたじさがワラジ作っているてんがの。あんにゃさが
「じさ、なにしているがら」
ときくと、じさは
「おめえこそ、これからなにしるがら」
と聞くんだんが、あんにゃさは
「おら、村にいたって、貧乏で食っていがんねすけ、旅に行こうと思って、履いで行くワラジを作りにきた」
とようたと。じさは
「おら、おめえについてきた貧乏神だ。おめえが旅に行くげだすけ、おれもついていごうと思って、ワラジ作っているどこだ」
とようたと。これを聞いてあんにゃさは
「こらおおごとら、おれが行く先々の旅にまで貧乏神がついてこられては、どこへ行ってもまんまくっていがんね。おらここにいて真剣に働こう」
と思うて、旅に行くのをやめたてんがの。
ほうして村で真剣に働いて、こんだ貧乏神がいなくなったてんがの。
いきがさけた。
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共に<異類交流>をテーマとしたお話です。