新潟県の名人級の語り部を選定し収録した越後の昔話CD。語りの達人と言われる古老が地の方言で語る貴重で楽しい新潟県民話語りの醍醐味をご堪能ください。民話ファンや昔話の語り部を目ざす方は是非聞いてみたい昔話CDです。

瓜姫

高橋ハナむかしがたり

新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。

瓜姫(誕生話)

あったてんがの。

あるどこにじさとばさあったと。

じさは山へ柴刈りにばさは川へ洗濯にいったと。

ばさが洗濯していたら、向こうから香箱(こうばこ=線香を入れる箱)が流れてきたと。

ばさが

「実のある香箱はこっちへ来い。実のない香箱はあっちへいげ」

とようたら、実のある香箱がこっちへ流れてきたと。

ばさは喜んで、それを拾って家に持ってきたと。

ほうしてじさが山から帰ってくるまで床の間に置いていたと。

じさが山から帰ってくると、ばさは

「じさ、じさ香箱拾ってきたぜ」

とようて見せたと。じさは

「おう、そうか」

とようて、眺めていたと。

そのうちに香箱がピチンと割れて、中から、かわいげな女の子が出てきたと。

その子の名前は瓜姫とようたと。

だんだんでっこうなって、ばさが

「女だがんに、機(はた)織ること教えてやる」

とようて、機織りを教えてくれたと。

瓜姫が機織りが上手になって、機織っていると。

あるどき、じさとばさが、山へいぐとて瓜姫に

「となりのアマンジャクが来ても、決して家に入れるな」

そうようて出て、瓜姫は留守居していたと。

そこへ隣のアマンジャクが来て、

「瓜姫、遊ばしてくれや」

とようたと。瓜姫は

「おらちのじさとばさがおまえを家の中に入るなとようたすけ、やだ」

とようと、アマンジャクは、

「ちっと遊ばしてくれや。家に入らねや。指の入るほどでいいから開けてくれ」

とようたと。

瓜姫がちっと開けると、アマンジャクは「頭の入るほど開けてくれや」

とようたと。

瓜姫はあんまりアマンジャクがようんだんが、開けてくれたと。

アマンジャクは、家に入ってきて水を飲みにいって、塩を一つかみ持ってきたてんがの。

そして、瓜姫の頭に塩をまいて、頭から食ってしもうたと。

瓜姫の骨ばっか前の杉の木の根っこに埋めたと。

アマンジャクは瓜姫の着物着で、瓜姫になりすましていたと。

そこへじさとばさが山から帰ってきたと。

じさが

「瓜姫や、隣のアマンジャクが来なかったか」

と聞いたと。

「ああ、こなかったぜ」

と瓜姫になりすましたアマンジャクが答えたと。

じさは

「そうか、いいかったな」

とようて、瓜姫をてんぐるま(肩車)に乗せて、外へ遊びに出たと。

杉の木のてっぺんにカラスが止まっていて、

「じさの馬鹿じい、隣のアマンジャクてんぐるまにのせて。瓜姫はここだ」

とようたと。じさは

「このカラス何ようろうか」

と聞いてみたら

「じさの馬鹿じい、隣のアマンジャクてんぐるまにのせて。瓜姫はここだ」

と鳴いているてんがの。

じさが杉の木のどこに行ってみたら、骨がいっぺえあると。

じさがごうやいて、アマンジャクを殺してしもうたと。

いきがさけた。

おはなし

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  1. ワシと子ども
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