新潟県の名人級の語り部を選定し収録した越後の昔話CD。語りの達人と言われる古老が地の方言で語る貴重で楽しい新潟県民話語りの醍醐味をご堪能ください。民話ファンや昔話の語り部を目ざす方は是非聞いてみたい昔話CDです。

たかの卵

高橋ハナむかしがたり

新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。

たかの卵(異類婿)

あったてんがの。

あるどこへじさとばさと娘があったと。

あるどき、ヘンビ(ヘビ)がカエルくわえていたてんがの。

じさが気の毒に思うて、

「ヘンビ、ヘンビ、そのカエル放してやれや、おらに、娘が一人いるが、おまえを婿にもらうが」

そうようたら、カエルを放したてんがの。

カエルは、ビクラシャクラびっこを引き引き、喜んで逃げていったてんがの。

あるどき、じさがどっかにいった帰りに、道端に若いいい男が立っていたてんがの。

「じさ、じさ、おめえ、おらこと、婿にしると約束したが、婿にしてくらっしゃい」

とようたと。じさは

「おめえのようないい男、おらうちは、貧乏だすけ、とても婿にしらんねえ」

とようと、男は、

「貧乏でもいいすけ、おら婿にしてくらっしゃい」

そうようて、じさについていったてんがの。

うちへ行ってばさと娘にようたと。

「この男がおらのうちへ婿に来てくれるがら」

いい男だんだんが、ばさも娘も喜んで

「なじょうも婿になってくれ」

とようて、そこのうちの婿になったてんがの。

ほうしているうちに、娘が段々顔色が悪くなって、からだも悪くなって、病気になってしもうたてんがの。

医者にかかっても治らない。ある時、足のびっこの占いがきて

「これはタカの卵を取ってきて飲ませれば治る。その卵は、婿から取ってもらわねば治らん」

とようたてんがの。

ほうしるんだんが、じさとばさは、婿に頼んだてんがの。

「あんにゃ、あんにゃ、娘はタカの卵飲めば治るてが、おめえ、それとって来てくれや」

婿は、

「あい、おらが木に登ってとってくるども、それを決して見てくれるな」

そうようて、婿は山の方にズンズン入っていって卵とりにいったてんがの。

じさはその後からこっそり付いていったてんがの。

婿は山のでっこい木のどこにいったれば、でっこいヘンビになって、木に登っていくてがの。

じさは

「おっこ、ヘンビになったでや」

とたまげているうちに、木のてんじょに上がって、タカの巣に近付いて、卵を取ろうとしたてんがの。

タカが怒(おこ)って尖(とが)ったくちばしで、ヘンビをつっついたれば、ヘンビは、血だら真っ赤になって、ズドンと木からおって、死んでしもうたと。

ほうして、娘の病気は、だんだんよくなって、もとどおりになったと。

いきがさけた。

おはなし

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