新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
ワラとスミとサヌキマメ(植物の由来)
あったてんがの。
あるどこに、ワラとスミとサヌキマメがあったと。
三人して京参りに行ったてんがの。
ズンズン行ったら、川があったと。
その川には橋がなかったと。
「困ったねか。橋がなくて行くことができない」
と三人で困っていたと。
そうしたら、ワラが
「心配しんな。おれが長いすけ、向こうのはじまでかかるすけ、そうしたら、おれの橋の上を渡って通れ」
スミとサヌキマメが喜んで
「それじゃあ、なじょうもそうしてくれ」
とようて、ワラが橋になったと。スミが
「おれがいっち先に渡る」
とようて渡ったと。
真ん中ほどにいったら、スミに火が起きて、ワラに燃え移ったと。
ほうしてワラとスミが川の中へ落ちて、流れていってしもうたと。
そうしたら、それを見ていたサヌキマメが、あんまりおかしいんだんが、でっこい口を開けて笑ろうたと。
そうしたら、腹の皮が切れてしもうたと。
「腹が痛くておごっだ。腹が痛くておごっだ」
と泣いていたと。
そこへきれいな娘がきたと。
「マメ、マメ、おまえなんで泣いている」
と娘が聞いたと。マメは
「あんまりおかしくて笑うたら、腹の皮が破れて痛くておごっだ」
とようたと。娘が
「ほうせば、おれが縫うてくれる」
とようて、黒い糸で縫うてくれたと。
その時の黒い糸の縫い目が今も残っているのだと。
腹が痛くて下向かれねえで、上ばっか見ているんだんが、ソラマメとようたのだと。
いきがさけた。
<植物の由来>をテーマとしたお話です。
昔話CDのご紹介(全11枚)