新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。
キツネ、タヌキ、ウサギ(動物の競争)
あったてんがの。
あるどこヘキツネ、タヌキ、ウサギがあったてんがの。
三匹して相談して、この道を飛脚がにぎりめしを持って通るすけ、そのにぎりめしを取って食おうとようことになったてんがの。
三匹は、やぶの中に隠れていたてんがの。
飛脚は、エッサコラサ、エッサコラサととんできたれば、ウサギがやぶから出て、道の真ん中にチョコンとしているてんがの。飛脚は
「このウサギけがでもしたか、つかまえてくれる」
てがんで、手を出すと、ピョン、ピョンとちっと先へ行ってチョコンとしている。
またつかめてやろうと先へゆくと、ピョンピョンと行って先へ止まっている。
飛脚は、ごうをやいて、にぎりめしを包んだふろしきを木にいつけて、ウサギをぼっかけて行ったてんがの。
つかめようとしると、ピョンピョンととんではチョコンと止まっているてんがの。
そうしているうちに、キツネが
「おい、タヌキ、あの木の下のふろしき包のにぎりめしを持って来い」
とようんだんが、タヌキが取りにいってきたら、ウサギは
「にぎりめし、タヌキがとったすけ、この辺でいいなあ」
とピョンピョンと山の中に逃げて、どこへいったか分からんと。
飛脚はあきらめて戻ってきたら、にぎりめしは取られてねえてがんの。
三匹してそのふろしきあけて見たれば、にぎりめしが五つ出てきたと。キツネが
「さあ、にぎりめしを分けよう」
とようて、タヌキに一つ、ウサギに一つ、
「後の残りが三つどうして分ける」
とようろも、分からん。キツネが
「飛脚の手紙にどう書いてあるか見よう」
と見たら、
「一つはタヌキ、一つはウサギ、三つはキツネがもらう」
とある。
「おめえたち、聞いたか、三つはキツネがもらう」
とある。
ほうしてキツネが三つ取って食ったと。
いきがさけた。
……読み比べてみたい昔話
共に<動物の競争>をテーマとしたお話です。