新潟県の名人級の語り部を選定し収録した越後の昔話CD。語りの達人と言われる古老が地の方言で語る貴重で楽しい新潟県民話語りの醍醐味をご堪能ください。民話ファンや昔話の語り部を目ざす方は是非聞いてみたい昔話CDです。

十二支のはじまり

高橋ハナむかしがたり

新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。

十二支のはじまり(動物の由来)

あったてんがの。

ある時、神様が、

「こんだ、動物の中で十二匹を選んで、一年ずつ人間世界を守らせる。一月十二日におれのどこに早く来たもんから、順番に十二匹を選ぶ」

というお触れを出したと。

動物は、その日には、おれが一番に駆けつけると待っていたと。

だんだんその日が近づいて来たてんがの。

猫は忘れん坊だんだんが、

「はてな。何時だったかな」

とその日を忘れてしもうたと。

そうして、道にあったネズミに

「神様が動物を集めるには何時だったかな」

と聞いたと。

ネズミはこすい(ずるい)んだんが、てめえで勝とうと思うて、

「そら、一月十三日ら」

とようて、聞かせたと。ネズミは、

「これで猫だけには勝たれるな」

と思って家に帰ってきたと。

ネズミの家は、牛小屋の天井だんだんが、ようさる、寝ていると、下の牛がごそごそと支度をしているのが分かると。

「牛どん、牛どん、おめえはへえ、支度して出かけるがらか」

とネズミが聞くと、牛は、

「おれは足が遅いんだんが、今夜のうちに出かけないと、間に合わねえ」

とようたと。

そうしたら、ネズミは牛の荷物の中に乗っていったと。

牛は一晩中歩いて、やっと神様のどこに着いたと。牛は

「まだだれも来ていねえすけ、おれが一番だな」

と思うていたら、ちょこんとネズミがとんで出て、神様の前に行って、

「ネズミが一番だ」

とようたと。牛が

「おれの荷物の中でらくらく寝ていて一番になった」

と怒ったろも、どうしょうもなかったと。

猫は十三日の朝、暗いうちに起きて出かけていったと。

神様の門に入ろうとしたら、門番が

「おめえは、今ころ何しに来た」

ようたてんがの。猫が

「今日は動物を集めて選ばれる日だすけ、とんできた」

とようと、門番は

「そら、きんなだった。寝ぼけていねえで、顔洗うてこい」

とよわれて、がっかりしたと。

そうして、ネズミが一番で、牛が二番、虎が三番だったと。

猫はネズミにだまされたんだんが、ごうやいて、

「良くもだましたな。この恨みは晴らさんでおくものか」

と今でも、歯の牙(きば)を磨き、爪をみがいで、ネズミさえ見れば、ぼっかけて殺してしもうと。

そうして、門番に「顔を洗うてこい」

とよわれたんだんが、今でも猫はつばきを付けて洗っているがらと。

いきがさけた。

おはなし

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  1. ヒバリの金貸し
  2. スズメとケラツツキ

共に<動物の由来>をテーマとしたお話です。

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