新潟県の昔話を読み解く
サルと蛙の寄合餅|昔語り:下條登美
ある村で子供の誕生餅を搗いていたが、猿と蛙が餅を盗る算段をして、蛙が井戸の中で子供の泣き真似をして、家の者が出る隙に猿が餅を盗ることにした。成功したが、猿は餅臼を転がして早く取った方が全部取ろうと…。
大年の客|昔語り:下條登美
大晦日の日の晩にザトンボが泊めてくれと言ってきた。誰も泊める者はいなかったが、情け深い爺さと婆さが泊めてやった。すると、明日、若水を汲みに行って井戸に落ちたら「何玉があがる」と引き上げてくれという…。
大年の火|昔語り:増田滝太郎
昔、火を絶やしてばかりいる家があり、そこに気立ての良い嫁がきた。婆さは年末の日に火を絶やさないよう嫁に言ったが、嫁は火を気にしていたが消えてしまった。火種をもらおうと外へ出ると白髪の爺さが提灯持って…。
食わず女房|昔語り:下條登美
ある所に欲張りの兄さがいて飯を食わずに働く嫁が欲しいと思っていると、食わずに働く嫁が来た。しかし、嫁は兄さが出かけると大釜に米を沢山炊いて「目も食え鼻も食え」と頭の中へ握り飯を投げこんでいた…。
十二支の由来|昔語り:鈴木百合子
太郎兵衛は裕福だったが、次郎兵衛は牛と爺さがいたが貧乏で、哀れに思った太郎兵衛の鼠が毎日米などを持って行ったら、牛も爺さも元気になった。その頃、お寺の方丈様が十二支を集めて干支を作ろうとしていた…。
仁王|昔語り:下條登美
ある所に仁王様がいらして、日本で俺以上の力持ちはいないと言うと、後ろで八幡様が中国に居るとお守りをくれた。仁王は中国を尋ねたが、年寄りの婆さに聞くとそれは倅だと言い、毎日米を四俵食うと聞いた仁王は…。
兄とおじの鉄砲撃ち|昔語り:高野クラ
昔、兄弟の鉄砲打ちがいた。弟が東の山奥で火を焚き泊っていたら、娘が蝋燭を片手にまっ赤な桶を抱えて苧績みを始めた。化物だと思った弟は鉄砲で撃ったが、ニコニコしていた。弾が絶えて弟は娘に食われてしまった…。
秋山のぶつ|昔語り:高橋慶重郎
昔、秋山という所に父親と倅のぶつと二人で暮していた。母親の命日に坊さんからお経を読んでもらいたいと頼みに行ってくれと言われたぶつは、和尚さんは黒くて高い所にいると聞かされ、烏を和尚と思い頼んだが…。
見るなの蔵|昔語り:畔上マサ
昔、村相撲があり、綺麗な娘が毎日見に来ていた。一人の相撲取りが娘を見初めて、後をつけた娘の立派な家で、一晩泊めてくれと頼むと一人住まいだが泊れと言う。やがて婿になったが、十二の蔵の最後の蔵は見るなと…。
サルの生き胆|昔語り:下條登美
ある時、竜宮の乙姫様が病気で猿の生き胆を食べれば治ると言われ、亀は猿を竜宮へ連れて行って遊ばして食っちゃ寝させていたが、ある日、くらげが猿にお前の生き胆を乙姫様に食わせるを話してしまう。すると猿は…。