新潟県見附市の富川蝶子さんの昔話。その端正な語り口調を知ると、文字が生き生きと語り始めます。ぜひ一度CDでむかしばなしをお聴きください。
藁(わら)と炭と豆
あったてんがの。あるどこでワラとスミと豆が遊んでいたっての。そうして今日はもう少し遠い所まで行ってこようと相談して歩いて行ったと。
そうしたら小さい江川があったての。いくら小さいたって、とび越すことはできないと。
そうしたらワラが「オレが一(い)っち長いすけ橋になろうや。」と言うて橋になったと。
スミとワラの橋を渡りはねたら、まだちっとばか残っていた火がおきてきてワラが燃え出してワラとスミは「バッシャン」と江川へ落って流れて行くってんがの。
見ていた豆があんまりおかしくて「アッハハハ…アッハハハ…」と笑うたと。
あんまりでっこい声で、馬鹿笑いしるんだんが、豆の腹がプツンとやぶけたと。
豆が痛がってワンワンと泣いているどこへ富山のくすり屋が来たと。
「マメ、マメ、んななんで泣いてるや。」「オラ、あんまりばか笑いしたら腹がやぶけて痛うて大ごんだ。そいで泣いてるがだ。」と言うたと。
ほうしたら、くすり屋は「そうかそうか。そうだばおれが縫うてくっる。」と言って、もざきたって縫うてくいたと。
あんまりあわてて縫うたんだんが、黒い糸で縫ったってんがの。
そいで今も豆の腹のどこへ黒い線があるがだっての。
いちごポーンとさけた。
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