かえるになったぼたもち
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
むかしあったと。
あるどこに嫁と姑がいたと。
姑婆さは嫁が憎くてどうしょうもなかったと。
ある日、姑がぼたもちしたと。
だども嫁に食わせたくねんだんが、
「ぼたもち、ぼたもち、おら他に用事に行くすけ、もし嫁が重箱の蓋取ったら、げえるになってくれ」
言い聞かせて出かけたと。
それを嫁はにゃ(作業場)で聞いていて、
「こらあ、いいこときいたぞい」
と思うて婆さまが出かけると、早速重箱のぼたもちをいんな食ってしもうたと。
ほうしてたっぼからいっぺいげえるをつかめてきて、重箱に詰めておいたと。
婆さまが外から帰ってきて、ぼたもち食おうと思うて、重箱の蓋あけたら、げえるが飛び出したんだんが、婆さまはたまげて、
「あねじゃねえ、あねじゃねえ。ばさまだて」
というて、げえるに言うたども、げえるはそっげのことなんかわかるわけがねえんだんが、ぴょんぴょん跳んでたっぼの方へいったと。
これでいきがぽんとさけた。
太郎丸 長谷川モト
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