六部と葬式
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
むかしあったそうな。
六部がびっぼうの家にとめてもろうた。
そこの家じゃ、婆さまが死んだろも、葬式の出しようがなかった。
爺さまはおおごとがって、おやに頼みにいこうとして、六部に
「部屋の中で死んだ婆さまが『爺さいたか』というたら、『おお、いとう』というてくれや」
というて出ていったと。
部屋の中で、死んだ婆さまが
「爺さいたか」
と聞くと、六部は、
「おお、いとう」
というたと。
ほうしたら、婆さまが、
「爺さまの声じゃないねか」
と聞くんだが、六部はたまげて、体一つで逃げて出たと。
あとの爺さまは、六部の置いていった荷物で、葬式終やすことができたと。
これでいちがさけた。
太郎丸 長谷川モト
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