ねずみのこめつき
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
とんと昔があったげろ。
爺さは庭はいていたし、婆さは座敷はいていたと。
ほうしると、どっかから豆が出て来たんだんが、爺さは煎って食うというし、婆さは種にしるというて、二人は、けんかになってしもうたと。
そのうちに豆がころころところばって、穴の中ヘポトンとおってしもうたと。
これは不思議なことがあればあるもんだと思うて、爺さもその豆について穴の中にはいっていつたと。
そこへ入ってみると、ねずみがこめをついていて
「鬼でも蛇(じゃ)でもおっかんねえ。にゃあにゃあの音がおっかねえ」
と唄うて、ストトン、ストトンとこめついているんだと。そこで爺さが
「にゃあおん」
とねこのまねしると、ねずみはたまげて、すとすと逃げていってしもうたと。
ほうして、臼の中にあ銭(ぜに)がいっぺえ入っていたと。
これで、いきがすぽーんときれた。
楢沢 高橋篤太郎
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