はなしの話
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
とんと昔があったげろ。
若い衆宿(しょやど)へ村の青年衆が遊びにいっていたと。
ほうしたら、あかしがぽかんとけえて、空からどかんとでっけえひつ(櫃・飯のいれもの)が落って来たと。
おっかなびっくりふたあけてみたら、中に砂糖ぼたもちがどうろ(沢山)はいっていたんだんが、喜んで食ったと。
次の晩、前の日いがんかった青年衆が、おらもぼたもちもろうと思うて、若い衆宿へいっていたら、またどかんと音がして、でっけえひつが落って来たと。
「そら、ぼたもちが落ってきた」
というて、ふたをあけてみたら、一人の婆さまが入っていて、
「俺がよっべな送ったぼたもちの銭もらい来たじゃ」
というて、「あはは」とでっけえ口あけて笑うたら、歯がなんもなかったと。
はなしだと。
いきがすぽーんときれた。
小国沢 村山ヨシ
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