地蔵様の商い
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
あんじょ様(尼僧)が托鉢に行ったと。
あんじょ様が、わらっじが切れたんだんがお地蔵様から一足もろうて、土佐の国から他の国にいこうと思うろも、いっくらあえんでも土佐の国ばっかぐるぐる回っていて、いっこう外へでらんねがだと。
ほうしてまたしちゃ、お地蔵様に会ってばっかいたと。
通る人に、そのわけをきいてみると、
「お地蔵様に、わらっじの金やったかい」
と聞くだと。
「やらね」
とあんじょ様がいうと、
「そっだすけ、同じどこばっかもうているがだ。値段が書かっているすけ、やればいい」
というんだんが、地蔵様にあやまっておかね払ってからは、すぐ行こうと思うとこへ行がれた。
土佐の国じゃ、お地蔵様が商いしていると。
いんなそうらと。
太郎丸 長谷川モト
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