のか火(び)八反(はったん)くらすま九反(くたん)
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
むかしあったと。
あるどこに仲の悪い姑と嫁がいたと。
雪の降る晩姑婆さは嫁に
「早寝れ、早寝れ」
というて寝かせたと。
姑婆さは嫁を早く寝かせて、のか火(籾殻を燃やす火)でぺらぺらと苧(お)を績(う)んでいたと。
大割りにのか(籾殻)をちらちらかけながら、しんけんで苧を績んでいたと。
つぐに朝、姑婆さが嫁に
「あねあね、おらよなべにのか火で八反績んだ」
といったと。ほうしたら嫁が
「おらくらっつま(暗闇)で九反績んだ」
と姑に言って、婆さまの前に出したと。
婆さまはたまげて
「あねあね、いままで俺が悪かった」
といってそれから仲良くして、しんしょう(財産)を作ったと。
いきがすぽんとさけた。
原 北原勲
……もっと読んでみたい昔話