聟のあいさつ
新潟県長岡市(旧刈羽郡小国町)の昔話。どこか人なつっこい方言とおだやかな語り口調が嬉しい昔語りです。昔話のCDで独特の語り口調がわかると民話の文章が話し始めます。ぜひ昔ばなしを地の語りで聞いてみてください。
とんと昔があったげろ。
秋山の聟が嫁の家にいぐことになったと。
仲人は、嫁の家へいっても、聟が馬鹿のがん知られると、おごとらと思うて
「おめえ、むこうへいったら、ちょんぼ(男根)に縄つけてやるすけ、その縄をひっぱったら『さようでございます』というて、ほかの時は、だまっていれや」
というてきかしたと。
嫁の家へいって、そこの家の衆が話しるどき、仲人が後で縄をつんつんと引っ張ると
「さようでございます」
というだけで、ほかになんにもしゃべらんかったと。
「さようでございます。さようでございます」
とひまなしにいい出したんだんが、いんながたまげてしもうたと。
そこの家のねこが、後の方で縄にじゃらけていただと。
これでいきがすぽーんとさけた。
楢沢 高橋マス
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