新潟県の名人級の語り部を選定し収録した越後の昔話CD。語りの達人と言われる古老が地の方言で語る貴重で楽しい新潟県民話語りの醍醐味をご堪能ください。民話ファンや昔話の語り部を目ざす方は是非聞いてみたい昔話CDです。

ばくろうとキツネ

高橋ハナむかしがたり

新潟県長岡市(旧三島郡越路町)の高橋ハナさんの昔話。昔話独特の語り調子と、いきいきしたリズムが分かるとお話が語り始めます。ぜひCDでむかしばなしを聞いてみてください。

ばくろうとキツネ(人とキツネ)

あったてんがの。

あるろこへばくろうがあって、馬の売り買いをしていたてんがね。

ある時、ばくろうが、ばくちに負けて、夜遅く、山道を通ってきたてんがの。

ほしると、二匹のキツネが話していたてんがの。

「おい、なにかいいことないか。おら、ニシンと小豆まんまが食いたいなあ」

一匹のキツネがようと、もう一匹が

「そうか、いいことがある。おまえ馬になれ、おれがばくろうになって、馬市へ行って、おまえをいい値で売るすけ、そのお金でうまいものたらふく食おうや」

とようたと。初めのキツネは

「そうか、それはいい」

とようてめいめいの穴に帰ったと。

それを聞いたばくろうは、

「こら、いいこと聞いた」

と馬になるキツネの穴へついていって、穴を確かめてから帰っていったと。

つぐの朝、ばくろうは、ニシンと小豆まんまを持って、キツネの穴に出かけていったてんがの。ばくろうは、

「おい、来たろ。おればくろうに化けてきたろ」

とキツネのまねしてようたと。馬になるキツネは

「ごうぎ早いねか」

とたまげたと。ばくろうは、

「おまえにニシンと小豆まんま持ってきたすけ、これ食っていごう」

とようと、馬になるキツネは喜んでニシンと小豆まんまを食うたてんがの。ばくろうが

「おめえ、どっげの馬に化けるかひとつ化けてみれや」

とようんだんが、キツネはクルッとひっくり返って馬に化けたてんがの。

ばくろうがその馬連れて馬市へいったてんがの。

馬市じゃ、あんまりいい馬だすけ、しんしょうのいいだんな様が、いい金でその馬買ったてんがの。

ばくろうは、その金持って、喜んで家に帰っていったてんがの。

ばくろうに化けたキツネが、そのあさげ、馬に化けるキツネの穴に行ったてんがの。

穴の中には、キツネがいねえで、

「はて、まあ、どうしたがだ」

と思うて自分の穴に戻っていたてんがの。

ほしているうちに、馬になったキツネが戻ってきたと。

ばくろうになったキツネのどこに行って見ると、ちゃんと戻っていてばくろうになったキツネが

「おい、あさげ、おめえのどこにいったら、穴にいなかったが、どこに行っていたがら」

とようたと。

こんだ、馬になったキツネが、

「おまえ、なにようているがだ。おれを引っ張って馬市へ売ってきたねか。金いっぺえもろうて来たはずだが、二人で分けようねか」

とようたと。

ばくろうになったキツネが

「そら、おれでないが、そうせば、ほんとのばくろうが、おらの話を聞いておまえ売ってきたがだ」

ようたと。

馬になったキツネが、

「そうせや、おら二人して役人に化けて、ぼくろうのどこから、その金とり戻してこう」

とようたと。

二匹の相談をほんとうのぼくろうが聞いていたてんがの。

ある日、二人の役人がやってきて

「ばくろう、おまえは偽(いつわり)の馬を売って。金を取ったというが、その金をここに出せ」

とようんだんが、ばくろうは、

「ははあ、これはキツネが化けているがだな」

と思うて、家の中に入れて、ニシンや小豆まんまを食わせ、ナンバンを火にいぶしたれば、役人に化けたキツネは逃げようと思うて騒ぐども、戸が閉めてあるんだんが、外へ出ることがならんで、二匹ともばくろうにつかめられてしもうたてんがの。

いきがきれた。

おはなし

……読み比べてみたい昔話

  1. キツネの恩返し
  2. キツネのちょうちん
  3. キツネと山伏
  4. あにとキツネ
  5. キツネの仕返し
  6. 平兵衛のいたずらもの
  7. キツネにだまされた嫁
  8. 庄屋とキツネ

共に<人とキツネ>をテーマとしたお話です。

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